夏の海苔のたね

海苔は一年中海に生えているわけではありません。
海苔の種付けは秋、海苔が成長するのは秋から春にかけての海水温が低い寒い季節です。
つまり、夏は海に海苔は生えていません。

 

海苔のたねってどんなの?

 

 

正確には、種ではなく胞子です。
海苔は、寒さが和らいだ春に寿命を終えますが、その時に果胞子と呼ばれる胞子を放出します。
その果胞子は、牡蠣(かき)などの二枚貝の殻に潜り込む習性があります。
二枚貝の内側の白い部分、あの石灰質の部分を溶かして潜り込みます。
海苔の果胞子は、夏の間そうやって二枚貝の中で成長します。

 

その習性を利用し、海苔生産者は春から秋にかけて水槽で海苔のたねを培養しています。

 

 

上の写真は、培養している海苔のたね。
牡蠣殻に果胞子が潜り込み、糸状体と呼ばれる状態になって成長しています。
黒い点が糸状体です。

 

春はまだ白かった殻が、8月くらいには糸状体が成長して真っ黒に。

 

 

この糸状体が更に成長すると、殻胞子という胞子を作ります。
この殻胞子が海苔のたねになります。
果胞子とか糸状体とか殻胞子とか、海苔のライフサイクルって複雑ですよね。

 

殻胞子、つまり海苔のたねは、秋になってある程度海水温が下がると自然と放出されます。
この時期に、今まで培養していた牡蠣殻を海へ持って行きます。
これが海苔の種付けです。

 

夏に準備した海苔網。

 

 

海水温が適度に下がった10月頃、この海苔網の袋に海苔のたねが詰まった牡蠣殻を入れて海へ持って行きます。

 

 

10月の海苔の種付け風景。

 

 

潮が引くとこんな感じ。

 

 

10月の種付けに向けて、現在水槽の牡蠣殻では海苔のたねが作られつつあります。

 

 

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