10月27日、令和最初の海苔の採苗日(種付け日)でした。
有明海の海苔の成長は、海で種付けしてから始まります。
種付け前日、いよいよ夏の間準備していた何枚も重ねた海苔網の出番です。
丸めていた海苔網を広げ、網に取り付けている落下傘と呼ばれるビニール袋に、海苔のタネ(胞子)がいっぱい詰まった牡蠣殻を入れていきます。
専用の機械です。
牡蠣殻を入れ終えたら、また元通り丸めます。
これが海苔のタネとなる胞子がいっぱい詰まった牡蠣殻。
牡蠣から海苔のタネが出るわけではなく、海苔の胞子を作る前段階の海苔の果胞子は、二枚貝の白い部分に潜り込んで成長する習性があるんです。
海苔の果胞子が二枚貝の白い部分に潜り込んで糸状に成長すると、夏には白い部分がまっ黒くなります。
そして、糸状体と呼ばれるその黒い部分で海苔の胞子が作られます。
この習性を利用し、夏の間水槽で牡蠣殻(産地によってはホタテを使うところもあります)を使って海苔のタネ作りを行います。
全部の海苔網に牡蠣殻を入れ終えた後、この海苔網を船に載せ、翌日海に持って行きます。
まずはトラックに載せ、それから漁船へ。
本日の作業これで終了。
さて一夜明け、いや夜明け前から出港します。
漁港には、他の海苔漁師さん達やお手伝いに来た人達が出港の準備をしています。
アリアケスイサンでも家族や従業員、お手伝いに来てくれた人を含め7人で出港です。
そして漁場に到着。
到着した頃には夜も明け、空が明るくなり始めています。
まず、海上で作業するための箱船に海苔網を移します。
そして種場と呼ばれる漁場に、海苔網を潮の向きに合わせて流していきます。
この作業を7人3艘の箱船で行いました。
9時頃には海に持って行った海苔網を全部種場に流し終えました。
作業が終わりかけた頃、テレビ局や新聞社の方々が取材に来られました。
昼前には全ての作業を終え、お昼休憩。
有明海は干満の差が大きく、種付けは大潮の時に行うので、見る見るうちに潮が引いていきます。
支柱に取り付けた綱で繋いでいる海苔網は、綱がピンと張るくらいまで潮が引くとだんだんと吊りあがり始めます。
満潮の時にはちょっとしか水面から出ていなかった支柱も、高々と突き出し始めます。
この干満の差を利用して行うのが有明海の海苔の種付けです。
海苔網に付けている落下傘の中には、海苔のタネがいっぱい詰まった牡蠣殻が入っています。
1000枚以上の海苔網には、8000枚近くの落下傘がぶら下がっています。
こうやって落下傘が水面から出るのにも意味があります。
無事海苔のタネが海苔網に付着すると、そこから海苔の成長が始まります。
海苔の初収穫までおよそ一ヶ月。