諫早湾干拓事業訴訟 国側上告断念・開門へ

以下、毎日新聞の記事。

菅直人首相が表明した長崎県諫早市の国営諫早湾干拓事業(諫干)をめぐる福岡高裁判決の上告断念により、諫干潮受け堤防の排水門が開門へ一気に動き出した。ギロチンと言われた堤防閉め切りから13年。諫干による漁業被害を訴えてきた佐賀県など有明海沿岸の漁業者からは「首相の判断は画期的」と歓迎の声が上がった。一方、開門による塩害などの被害を恐れる長崎県や干拓営農者は「信じられない」と猛反発している。【姜弘修、柳瀬成一郎】

 佐賀県太良町のノリ養殖業、大鋸武浩さん(40)は「諫干問題に深くかかわってきた菅さんがやっと動いてくれた。決断をおおいに評価したい」と待ちに待った政治判断を喜んだ。その上で「これから開門の方法や時期が焦点となる。なるべく早く開くよう訴えたい」と意気込む。

 また、長引く不漁に耐えられず、今年2月に開門反対から賛成に転じた瑞穂漁協(長崎県雲仙市)の石田徳春組合長(73)は「涙が出てきます。体も震えます」と喜んだ。しかし、支持率低下に揺れる民主党政権への不安もあり「開門決定が覆らないか。それだけが唯一の心配」とも語った。

 佐賀市川副町のノリ養殖業、川崎賢朗さん(50)も「野党時代に諫干を批判した菅さんならと思って訴えてきた。やっと菅さんらしさが出た」と歓迎。ただ、「政府は上告するのでは」との見方があっただけに、戸惑いも見られ、「中身が分からず、もろ手をあげて喜べない」と指摘。「長崎にとってハードルの高い開門方法なら逆に長引く恐れもある。当事者を入れて協議すべきだ」と長崎県側の反応を懸念した。

 その長崎側の干拓営農者らは、上告断念に反発している。干拓地に42ヘクタールの土地で入植した愛菜ファーム。6日には台湾向けに初の輸出出荷式をしたばかり。川瀬大三農場長(61)は「開門によって調整池に海水が入れば、被害が出る。絶対に応じる気はない」と憤慨した。

 同県雲仙市の入植者、長谷川征七郎さん(67)は4.5ヘクタールでジャガイモなどを栽培。順調な営農3年目だが「上告断念ならば、農業用水や干拓後背地の防災対策など国がしっかり対応策を提示すべきだ。納得できない」と話した。

 地元・諫早市の担当者は「開門は少なくとも最高裁の判断を待ってからにしてほしい」と言い、宮本明雄市長が上京し15日に農水省などに上告するよう訴える予定だ。

 

漁民の立場からすれば、ようやくという感じ。

長年諫早湾干拓問題に関わってきた菅さんが、野党時代の菅さんが戻ってきた。

貴重な一歩ではあるけど、これからどうなるのか、まだ予断を許せないところです。

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